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2015年9月

クラマーさんの言葉

2015/09/24(木)

クラマーさんとは賀川さんと一緒に何度もお会いする機会があった。

賀川さんからは、「指導の天才」「ドイツを代表する指導者」として、様々なエピソードを聞かせていただくのだが、直接お会いして、その迫力に圧倒され、

これがコーチなんだ

と実感させられた。

今年1月のFIFA会長賞授賞式の後には、チューリヒからドイツ在住のカメラマンであるカイ・サワベさんの運転でクラマーさんの自宅を訪ねた。

賀川さんと抱き合い、日本での弟子たちの写真とメッセージで埋め尽くされたアルバムを賀川さんに託そうとした姿に、私は涙を止めることができなかったが、その私を見るクラマーさんのまなざしは、心からの優しさに満ちたものだった。指導者というのは、もちろん高度なスキルや知識が要求される仕事だが、最後はその人の本来持っている人格なのだろう。

ぼくたちは賀川さんのテキストや、クラマーさん自身が残した言葉を通して、まだまだ学ばなければならないし、さらによりよい日本のサッカーを示すことでその恩にこたえていかなければならないだろう。


●賀川さんのブログ

●2002年のトークイベント

●サロン2002のシンポジウム報告書

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U-18ベースボールのこと

2015/09/10(木)

昨日は、野球から学ぶポジションプレーについて書いたのだが、もう1件、野球の話。

清宮などの出場で話題となった「WBSC U-18 ワールドカップ」。賀川さんの最初の興味は
WBSCのSって何や?ということだった。(ソフトボールです)
まずは、どんな組織がどのような枠組みで(さらには、どのような理念で)大会を開催しているのかが興味の対象となるわけだ。

そして、

野球関係者はU-18って言うてる意味がわかってるんかな

という話をしていたところ、日曜朝の「サンデーモーニング」のスポーツコーナー(というか、張本さんの喝!のコーナー)で元プロ野球選手で、議員経験もある解説者が

サッカーの真似してU-18なんて言わんと高校でええんですよ

と言っていた。

中米や欧州からこの大会に出場している選手のなかには、クラブチームなどでプレーしている選手、高校に行っていない選手もいるのではないかと思うのだけど、、

サッカーが野球に学ぶべきこともまだまだあるけども、野球もサッカーから学んでいただきたいこともある。

フットサルは最初からU-18でスタートできてよかったと改めて感じた出来事だった。

「年齢別の競技会」については、賀川さんの先輩でもある大谷四郎さんが30年以上前に力説されている。

年齢別の競技会
ワールドクラスへの道 ~「世界」へ悠々と急げ~ by 大谷四郎

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野球から学ぶポジションプレー

2015/09/09(水)

お盆すぎて、バロンドール騒ぎも戦後70年も終わったら、ようやく落ち着くかな

と賀川さんと話をしているのだけども、どうやらそういうわけにもいかず、取材や講演の依頼を引き続きいただいています。

そんななかで、今週はスポーツ学会大賞という立派な賞をいただくことになり、東京へ。
表彰式の後の講演は「サッカーの興隆」をテーマに、1863年10月28日のFA設立からの歴史を語ったのだけども、その後の質疑応答で

自分は野球をやっていたのだが、息子はサッカーをやっている。野球と比較してサッカーは個人技の練習を重視しないのはなぜか

という質問があった。

試合を一緒に見ていたりすると賀川さんは「ポジションプレー」について、事あるごとに語っているのだが、あまり原稿にすることはなく、講演の場でもそれほど力を入れて語ったことはないように思う。

賀川さんの答えは、
個人技ではなく、ポジションプレー。たとえば、野球のショートは捕球して、ファーストへ投げる動作を反復練習で身につける。サッカーでもサイドの選手は一番手前の相手DFの頭を越すクロスを反復練習しなければならないし、点を取るためにはどこからどう蹴ればゴールが決まるかも反復練習しかない
というようなものだった。

そういえば、ぼくたちの中・高でのサッカーは、週3回の練習で勝つためにポジションプレーをかなり重視したものだったように思う。ウイングは一人かわしてクロスを上げることに全力を尽くし、ぼくはひたすらヘディングではね返す。

そういえば、クラブ出身者と高校出身者の比較では、限られた期間で「育成」ではなく「結果」を出すためにはやはりポジションプレーが重視されるだろうから、高校サッカーの方がポジションプレー寄りの練習になるのかな、などとも考えた。

サッカーも野球から学ぶこともまだまだあるのだ。

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三好監督と作陽

2015/09/01(火)

2011年秋に中塚先生と「U-18フットサルの全国大会が必要だ」という話をして、その場から数名のキーパーソンに電話をかけ、そこから一気に2012年の「U-18フットサルトーナメント」開催にたどり着いたのだが、電話をかけた中に作陽高校の野村監督がいた。

野村監督は日本高校選抜の監督をつとめるなど、高校サッカー界を代表する名将だが、二つ返事で協力、すなわちチームの出場を快諾いただき、さらに地域との調整、他地域のチームの紹介など、積極的に協力いただくことになった。

その後、春のU-18フットサルトーナメントに加えて夏にも大会がほしい、という要望を受けて創設した、グリーンアリーナ神戸カップにも毎年チームを派遣してくれており、他の出場チームからは、「作陽と対戦できるから」という声も寄せられている。

第1回大会は地元の神戸国際大附属との決勝を制し、見事に優勝を飾ったが、その主将は神戸のサッカーの顔ともいえる加藤寛さんの第三男の星馬くんだった。

大勢の人たちと協力し、U-18フットサルの大会をつくってきたなかで、作陽も大きな役割を担ってきた仲間だった。

その作陽が、この世代史上最強ともいえる戦いぶりで日本一の座に輝いたのを賀川さんと眺めながら、涙がこぼれそうになるのをこらえていると、優勝監督インタビューで三好達也監督が

関係者の皆さんのおかげで

と言いながら声を詰まらせるのをみて、涙をおさえることができなくなってしまった。

この、関係者のおかげ、というのは言葉だけのことではなく、チームは野村監督の運転で夜通しバスを走らせて仙台から神戸入りし、翌日からのグリーンアリーナ神戸での大会に出場してくれた。三好監督も選手も疲労困憊で、申し訳なく思ったが

優勝できたのも、ここからですから

と言ってくれたのは、まさに大会主催者冥利につきる喜びだった。

野村監督は

普段はほめないんですが、三好がよく勉強していいチームをつくりました

と賀川さんに語っていたが、もともとはサッカーのコーチでフットサルは完全な素人だった三好監督の成長は、作陽にとっても日本のフットサルにとっても大きな収穫と言えるだろう。

2015年夏の作陽はU-18フットサルの頂点を極め、すばらしい歴史をつくった。それは、ぼく個人にとっても誇りに思える歴史だった。

ここから作陽と三好監督はさらなる高みを目指すだろう。

そして他のサッカーチーム、フットサルチームは、彼らをリスペクトしながら、作陽にできるなら、三好さんにできるなら、という思いで新しいチームをつくり上げるだろう。

ぼくたちの仕事はそれに応える環境づくりだ。

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