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篠田三郎の吉田松陰

2015/01/25(日)

「世に棲む日日」を読んでいる。チューリヒ行きで何か1冊と考えた時、ちょうどNHKの大河ドラマで吉田松陰の妹が主人公になっていることもあって、ちょうどいいかな、と選んだもの。すっかり黄ばんでしまった文庫本は1987年1月15日23刷となっているから、最初にこの本を手に取ったのはぼくが22歳の時だったことになる。

明治維新、大河ドラマといえば、ずいぶん古い話になるが「花神」に熱狂したことを思い出す。この作品のなかで、小学生のぼくが最も思い入れを持って見つめていたのが、中村雅俊による高杉晋作と、篠田三郎演じる吉田松陰だった。昨年に亡くなった友人の残したテキストを整理していたら、同じ作品での篠田三郎のことを書いていたから、作品のなかでの取り上げ方だったのか、あるいはその年代の少年の心に響く何かがあったのだろう。

改めて読み直しながら、やはりこの役は篠田三郎だろう、と確信する。

いまは4巻本の2巻の途中、松陰の死のあたりなのだが、22歳の自分が松陰と晋作の物語に、さぞ興奮しただろうと思いを馳せる。記憶ではもう少し早くに読んだような気がするのだが、高校生のころは周囲の仲間たちのなかで盛り上がっている、たとえば「龍馬」や「三国志」や「村上春樹」に対して、「盛り上がっているならオレも」と後から手を出すのは嫌だというような思いが強かったから、この作品に触れるのも遅くなったのだろう。そういえば、そのおかげで(高校生のころには友人たちがたしなんでいた)タバコにはこの歳になるまでお世話にならずにすんでいる。

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