最終予選が終わり、いよいよ2006本番モードのスタートとなった
昨日のホンジュラス戦。
台風14号のため、当日まで、試合はあるのか、飛行機は飛ぶのか、
と心配することになりましたが、仙台に入ってみれば、風は強いものの
雨もほとんどなく、試合開始時には、風もずいぶんおだやかに。
関東、関西での代表戦よりも、代表のレプリカ着用が多く、
観客の期待の大きさがうかがえます。
ゲームは、ホンジュラスが8分、27分と立て続けにゴール。
中田浩二、中村、三都主のポジショニングに迷いがみられ、
クラブでの出場のない稲本、中田英寿は明らかにコンディション不良。
ドリブルからの「小さいターン」についていけず、
日本の持ち味であるはずの、俊敏性で相手が上回るという展開。
しかし中田英寿の強いパス、中村のセットプレーなどから
高原、柳沢らがゴールを重ね、2点差をひっくり返しての逆転勝利で
スタジアムを埋めた4万の観衆は大いに沸きかえりました。
試合後の記者会見では、ジーコに厳しい質問がぶつけられます。
「相変わらず、出鼻をくじかれるのはどうして?」
「昨日、ミスをしないことを課題と言っていたが、ミスが多かった」
などなど。
ジーコは、厳しい表情でひとつひとつ丁寧に答えていきます。
最後の質問。
「前半にリードされたら、普通の監督はベンチを出て、指示を出すものだが、
なぜ静観したか?」という質問に対しては、
自分がプレーしているとき、あのような状況で監督が
落ち着け!と怒鳴っているのを見て、
落ち着かなければいけないのは、どっちだよ?
と思っていた。私は選手を信頼しているし、そんなことはしたくない。
どんな点数になっても、バランスを崩さ造にやることが大切だから、
自分からバタバタすることはない。
さすが大人の受け答え、
と思っていたら、賀川さんが挙手した。
すでに最後の質問と言われていた後なので、質問はできなかったが、
インタビュールームを出たジーコを追いかける賀川さん。
「ジーコ!」と呼びかけると、ジーコが立ち止まってくれた。
北朝鮮戦の最後の大黒のゴールは、無理な体勢からの
田中のパスがゴールにつながったが、
その前に、ジーコが田中を呼んで指示を出していた。
相手の裏を狙うパスを指示したのか?
という質問にジーコは、
「相手DFがラインを上げていたので、
田中だけでなく、宮本たちにも裏を狙えと伝えていたが
実際に、プレーしたのは、田中です」
「ボールを奪って、変な体勢のままで蹴ったから、
きっとジーコのアドバイスがあったのだと思った」
と言われてジーコは、記者会見では見せなかった
満面の笑みをうかべて、
賀川さんの肩を叩いた。
あのパスは、自分の指示からでなく、選手の選択だという
ジーコの選手への思いやりと、信頼。
そして
自分のやろうとしていることを理解してくれているという
監督とジャーナリストとの信頼。
「やっぱり、指示してたんや」という賀川さんも
ジーコの名アドバイスを確認できて、本当にうれしそうだった。
仙台のすばらしい観客、代表の逆転劇に勝るとも劣らない
いいものをみせてもらった、最高の夜になりました。