神戸で見た日本フットサルの名勝負
神戸グリーンアリーナで全国選抜フットサル大会を見た。地域予選を勝ち抜いた各府県の選抜チームと、開催地代表の兵庫を加えた12チームが参加するこの大会で、優勝候補は前年度優勝の東京。日本代表をずらりと並べたメンバーを見ただけでも、期待に胸が踊る。
その本命・東京に続く第2グループは、大阪、兵庫の地元勢と、あのドゥダ、ルシアーノを擁する愛知。この4強がそろって最終日に駒を進めたことで、大会の成功は半ば達成されたといえるだろう。このなかでは、昨年は奈良のメンバーとして2位に入った藤井健太らをメンバーに加えた大阪が初日に愛知を破り、打倒東京の一番手として名乗りをあげる。
3位決定戦では、兵庫が地元開催の期待に応えて快勝。鈴村拓也が安定したプレーでゲームをコントロールし、カンカンボーイズの江藤正博らが持ち味のスピードを活かすという戦術が見事にはまった。結果的に兵庫に完敗した愛知は、今大会最も注目される選手のひとりドゥダが準決勝で2枚のイエローをもらって退場となった穴を埋めきれなかった。3位決定戦では愛知のためだけでなく、彼のプレーをぜひ関西のフットサルファンに見せたかった。その想像もできない意表をついたプレーは、フットサルを深く知らない人たちにも新しいフットサルの楽しさを伝えてくれただろうから。その技術にふさわしいメンタルを彼が備えたとき、日本フットサルの頂点という席が用意されていることだろう。
決勝戦は、まさにフットサルの魅力がちりばめられた名勝負。挑戦者・大阪が先制するが、難波田のゴールで東京が追いつく。難波田はゲームをコントロールする能力が高く、僕の個人的に好きなプレーヤーだ。関西では福角が同タイプで、これも僕のお気に入りの選手だが、今回は故障が完治せずスタンドからの観戦であった。東京は遠藤が退場となり、一人多い大阪が攻めるがゴールを割れず、間もなく選手が戻ろうという間際に稲田のゴールで大阪が再びリード。東京に傾きかけた流れを大阪が食いとめたかにみえたが、18分に前田のゴールで同点。一進一退の攻防となった前半を終えた時点では、やはり各個人の能力の高い東京が総合力で上回るかという印象。
後半は、引き続き東京が押し気味にゲームを進める。藤井健太がプレーする大阪は、安定感があり東京のプレスもさほど強くは来ないのだが、藤井が抜けると東京は一気に前線からのプレッシャーで押してくる。このあたりは、意図的なものなのかどうかは別として、藤井の存在感を改めて感じさせる光景だった。両チームとも持ち味を出し、攻め合うが延長戦に入っても勝負はつかず、PK戦は見たくないなと考えていたら、残り9.4秒で東京のゴールが決まった。 今年の全国選手権の決勝では実力上位と見られていたFIRE FOXが前半5分に小暮のゴールでリードし、それをSuerte banffが必死に攻めたてるという状況で、大会史上にのこる名勝負が生れた。このときもゴールの数は少ないにもかかわらず互いにゴール、そして勝利への意識が高く、会場全体が強烈な緊張感につつまれたことは記憶に新しい。ゴールという最高の興奮なしに、最後まで見る者を惹きつけ続けたこの2つのゲームは日本のフットサルの進化を確かに見せてくれた。
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