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歓喜のソウル

2002/06/22(土)

ソウルの市庁舎近くのホテルで書いています。30分ほど前に韓国がスペインに勝ってベスト4入りを決めたばかりなので、窓を開けているとPAを通したDJの叫び声と、何万人もの人々の声が聞こえてくる。80万人とも100万人とも言われるこの群集の発する力は強烈だ。首都の中枢部の機能をストップさせて、各所に設けられたスクリーンに向って国民が声援を送り、歓びを爆発させた。ここに集まった人たちだけでなく、空港のスタッフから赤ん坊まで皆が“be the REDS”のTシャツを身に着けて、「テハーンミング」(大韓民国)の叫びをあげている。この巨大な歓び、そしてこの光景の世界への発信は韓国の国民すべてにとっての勝利だ。

日本がファーストラウンドを突破したものの、どこか緊張感を欠いた試合で、勝てると期待されたトルコに力を出しきらずに負けてしまったのに比べ、韓国のこの勢いはいったい何なのだろうか?ポルトガル、イタリア、スペインというヨーロッパの強豪と真っ向から戦い、3戦ともに劇的な勝利をおさめ、いまだその勝利への意欲は尽きてはいないようだ。開催国とはいえ今大会で初勝利を挙げた国が、ここまで勝利へのモチベーションを維持しているのは、驚きだ。同様の例としては最近では98年のクロアチアだろうか。彼らはユーゴからの分裂などの政治的な背景があり、勝って自国の存在、プライドを世界に示したいと考えたことと、すでに世界的な実績をもつタレントが豊富であった。韓国の場合も、民族的な要因や、ワールドカップにおける敗戦の歴史というバックボーンはあるにせよ、国民がチームに対し強烈な期待とプレッシャーをよせ続けていることが大きいのではないだろうか。日本が、選手や監督だけでなく国民も、次も勝てるという曖昧な過信と、満足感を感じていたのとはかなり異なるようだ。彼らはまだ満足していないように見える。

客観的に見るなら、大会の盛り上がりを考えると開催国が勝ちあがっていることは喜ばしいことだが、一方でイタリアや、ポルトガル、スペインが消えたことは残念だ。しかし我々は共催国であるため、少々複雑な心境で彼らを見ることになる。もし共催もなく、隣国でもなければ素直にサッカー大国の敗戦を残念がっていたのではないか。この複雑な感情が、日本代表に対するさらに大きな期待につながれば、と思う。

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